| ■ 開発プロジェクトマネジメントの何を変えるか |
まず西原氏は現在のプロジェクト開発現場の惨状報告記事をいくつか紹介した。雑誌の一部によれば、SEは計算すると1年に13ヶ月働いているということであった。次に、何を変えなければならないのか、PDCAに沿って指摘した。
| Plan |
開発プロジェクトは工数を正確に予測することが大変困難で、納期に対する信憑性は崩れているのが現状である。 |
| Do |
リードタイムに盛り込んだバッファ時間に突入して初めて開発スピードがあがる学生症候群、タスクを掛け持ちすることによりトータルの開発期間が増えてしまう悪いマルチタスキング、早期完了にもかかわらず報告しない行動などがあげられる。 |
| Check |
大型のプロジェクト管理では工程表が大きく、遅れているタスクや早く進んでいるタスクが混在し、進捗線が複雑なイナズマ線となってしまう。この工程表はプロジェクトマネージャ以外理解しがたいものになり、進捗が共有できない。また、注目すべきタスクが本当に注目されているかが不明である。 |
| Action | 進捗会議では全体最適を考えようという雰囲気ではないことが多い。個別最適親方マネジメントと、気合だけで大規模プロジェクトはスムーズには進むはずが無い。 |
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| ■ 何に変えるのか~TOC/CCPM概要~ |
このような疲弊するだけのプロジェクト管理から脱却するために、TOC(Theory of Constrains)理論に基づくCCPM(クリティカルチェーンプロジェクトマネジメント)による開発プロジェクトが有効である。
TOCの基本的な考え方は
| 1 |
組織には達成すべきゴールがある
TOCでは将来にわたって設け続けることと定義している |
| 2 |
組織はごく少数のことにより制約されている
プロジェクトでは様々な制約があるが、鎖のごく一部が弱ければ全体の強度がその弱い一部に依存するように、ごく少数の制約が全体を強く制約している(クリティカルチェーン) |
| 3 |
部分の合計は全体と一致しない
プロジェクトの各タスクは完了する時間やリスクにばらつきがあるため、タスクの合計が全体に一致することはない。 |
である。従来プロジェクトマネージャは、タスクが期限内に完了するかどうかや事前に予測できることを管理しているが、プロジェクトは不確実性と変動性が高いため、そもそも事前に予測できることを管理することは不可能である。TOC/CCPMではこのような管理方法ではなく、予測できないことを管理するようにする。
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| ■ どのように変えるべきか~TOC/CCPMを活用したプロジェクトマネジメント~ |
TOC/CCPMによるプロジェクトマネジメントはPERT法による従来型とPDCAのサイクルが次のように違う。
| Plan |
タスクではなくバッファを計画。予測できないことに対応するためにどれだけのバッファが必要か計画する。 |
| Do |
バッファ侵食を把握。見える化により、遅れや進みをすべて把握できるようにしておき、早期完了の未報告が出来ないようにしたり、なるべく遅くタスクを開始させて学生症候群を予防したり、悪いマルチタスキングを発生させないよう、リレー走者のようにバトンを渡されたらすぐスタートし、終わったらすぐ次にバトンを渡すようプロジェクトを進めていく。 |
| Check |
バッファ状況を確認するためバッファトレンドグラフを作成。CCPMではバッファの消費状況により、トレンドグラフに数種類の警告ゾーンを設定(グリーン・イエロー・レッド等)。毎日の把握でバッファが消費されているかどうか確認。 |
| Action | バッファ回復策を実施し、振り返る
警告ゾーンにあわせた対策を講じる。また、振り返りワークショップを開催し、タスクに共通の問題がないかどうか検討したり、CCPM適用基準やプロセスを再検討したりする。そして、今後に活かせる自社にあったCCPM適用手順を構築していき、次につなげる。 |
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| ■ TOC/CCPM期待成果と導入事例 |
TOC/CCPM展開で期待される成果は次のとおり
| CCPM |
タスク管理からバッファ管理 |
分散の加法性によるリードタイム短縮 マネジメントアクションによる納期遵守率向上
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| バッファ計画策定プロセス |
組織戦略とプロジェクトの整合 リーダーごとのばらばらな計画策定ステップによるばらつき
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計画策定ステップおよびレビュールールの標準化によるベテランから若手に技術の伝達(暗黙知の伝達) |
| バッファ状況収集プロセス |
個人任せから、全体の残日数管理、バッファによる作業順位優先づけ |
個人戦から組織戦へ、バッファを全員で見ながら自立的な行動を展開 |
| バッファ確認プロセス |
複雑な管理から、バッファ傾向グラフを活用した進捗会議へ |
重要な問題の見える化および全体最適マネジメントが可能 |
| バッファ回復対策プロセス |
レッドゾーン対策フローの事前準備、問題の見える化・改善ワークショップの運営、TOC思考プロセスにより真の問題に取り組む |
変化へ迅速な対応ができるミドルマネージャの再生、継続的改善の文化、対立から逃げない風土の醸成 |
TOC/CCPMは主に欧米で導入されているが、半導体メーカー、建設業、研究所やソフトウェア開発といった幅広い業種で適用され、サイクルタイムが数十パーセント削減される結果を残している。
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■ お客様の声(抜粋)
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- ・「プロジェクトの最適化」に漠然とした興味をもって参加したが、内容・講師の質ともに非常にすばらしい内容だった。
- ・むしろ期待以上であった。
- ・書籍ではTOCの概要を学んでいましたが、それがソフトウェア開発とどう結びつくかあまりイメージできていませんでした。本日のセミナーで明確になったと感じています。内容もコンパクトながら濃いものでした。
- ・プロジェクトの状態をみるのに、スケジュール表と実績記入ではよくわからないのが現実であるが、今回のTOC/ CCPMはわかりやすい指標になりうると感じた。
- ・概論やトヨタなどの参考になる話が勉強になりました。少しでしたがツールの具体的な使用法もあってよかったです。
たくさんのご意見を頂戴しました。ありがとうございました。
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■ 当セミナーご出席者様が関心を寄せられた研修には、以下のようなものがあります。
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★第1位:
『プロジェクトマネジメント(前編) ~しっかりした計画作り~』
★第2位:
『プロジェクトマネジメント(後編) ~成功するプロジェクト管理実践~』
★第3位:
『CCPM概論 ~事前に予測できないことをマネジメントする~ (eラーニング教材)』
★その他、関心の高かったコース
『プロジェクトを成功に導く外注管理』
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(文責:澤井 亜紀子)
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