クラウド講師対談

クラウド講師対談

クラウド人材育成現場の最前線で教鞭をとる、Amazon Web Services(AWS)とMicrosoft Azureの認定トレーニング担当講師が、最新情報やクラウド活用のメリット・デメリットなどを、それぞれの主観から語ります。

※本ページ掲載の対談は2015年1月に行いました。掲載された内容はいずれも対談当時の情報です。

本ページで対談している、講師:井澤哲也が「クラウドコンピューティングEXPO」出展ブースゾーンの「ステージプログラム」にて、プレゼンテーションを実施しました。

【イベントレポート】は、こちら


プロフィール紹介

13年連続「Microsoft MVP」受賞

横山 哲也
ラーニングサービス本部
マイクロソフト認定トレーナー
マイクロソフトMVP(Directory Services)

Microsoft Azure、Windows ServerなどのIT技術者向けトレーニングを担当。Windows Server のすべてのバージョンを経験。2003年から2015年まで、13年連続で「Microsoft MVP」として連続表彰。
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マルチスキルエンジニア

井澤 哲也
ラーニングサービス本部
シニアプロダクトマネージャー
中小企業診断士

Amazon Web Services(AWS)のほか、要件定義やソフトウェア開発関連コースを担当。コンサルティング、システム開発の上流工程から、プログラミング、インフラ構築までこなすマルチスキルエンジニア。
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<対談>クラウドサービスをどう使い、どう学ぶ?

クラウド業界の最新動向

クラウド業界の最新動向 ---井澤さん、re:Inventに参加されましたね?

井澤(以下I):2014年12月にラスベガスで開催されたAmazon Web Services(以下AWS)の「re:Invent」に参加しました。数万人規模の大きなイベントで、日本からのツアー参加者は400人ほどでした。
2日目にあきんどスシローさんのキネシス活用事例が紹介され、日本からの参加者は盛り上がりましたね。AWSは、日本を重視していると感じました。


---新サービスが多数発表されていましたね。

I:発表された新サービスは11個あり、各方面で話題になっていました。個人的には、ラムダ、オーロラに注目しています。
ラムダは、仮想マシンを意識しないでプログラムを動かせるサービスで、WindowsやLinuxなどのシステム操作を殆ど意識しないで実行できます。
オーロラは、MySQL互換のRDBMSなのですが、I/Oでクラウドサービスを使用しており、ディスクの管理をユーザーに意識させないようにしている点が、実にクラウド的だなと思います。


---横山さん、Microsoft Azureの最新動向はいかがですか?

横山(以下Y):Azureも最近サービス拡張があり、スケジューラ(クラウドサービスの自動実行)などの機能が追加されました。方向性としてはAWSの新サービスと近いものがあります。ただ、RDBにはSQL Serverが製品として存在しますので、独自の動きは大きくありませんね。

あと、元々Azureの仮想マシンはSystem Centerとの連携が考慮されていましたが、社内のシステムをAzure上に複製する機能にSystem Centerが不要になるなど、より手軽に使えるようになりました。


---Azure関連のイベントにはどのようなものがありますか?

Y:日本では、『Japan Azure Users Group (JAZUG)』というユーザー会が大きいですね。コミュニティですが、マイクロソフト社も関わっています。

I:AWSで言うところの『JAWS』ですね。

Y:そうですね。JAZUGは、パブリックビューイングを渋谷で夜通し開催するほどの盛り上がりを見せます。クラウドは国境を越えられるけど、時差は越えられないのが残念(笑)。1月には日本でも「Go Azure 2015」というイベントが開かれ、たいへん盛り上がっていました。


---クラウド関連は、どのコミュニティも活発に活動していますね。

Y:Google Cloud Platformのユーザー会『GCPUG』も1月にイベントを開いていましたし、SoftLayer関連も2月に「Japan SoftLayer Summit 2015」がありますね。クラウド業界全体が盛り上がっているように感じます。


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クラウドのメリットについて

クラウドのメリットについて ---クラウドと言えば、よくメリットの一つに価格が挙がりますが、実際のところどうですか?

I:AWSは、サービス開始以来7年間値下げを続けていて、回数にすると約50回にもなります。下げ幅も大きく、急に値段が1/3になることもありますから、価格面では非常にメリットが大きいと思います。
ただ、AWSはドル払いのため、為替の変動が影響することには注意が必要です。リザーブドインスタンスという前払い制度を用いることで、変動のリスクをある程度制御できます。

Y:Azureは、「AWSより必ず安くする」という方針なので基本構成なら安いですよ(笑)。ただ、クラウドの価格体系は分かりにくいところがありますので、構成によっては高くつく場合もあります。

I:価格面を重視する場合、AWSは「仮想サーバー(インスタンス)を使ったら負け」と言われます。AWSが提供しているストレージや通知などのサービスをうまく組み合わせれば、仮想サーバーを立ててシステムを組むより結果的に安くなります。

Y:AWSは仮想マシンのCPUが高いイメージがありますね。ストレージは安い。

I:そうですね。その点、ラムダは仮想サーバーを立てずにプログラム実行環境を稼働できるので、コストメリットがあります。

Y:Azureは価格に対して性能が高いのが特徴です。性能を考えると安いと思います。

I:一方でユーザーからは、クラウドを使うのは安さより利便性を重視して、という意見も増えています。

Y:実際のところ、システムによってはクラウドは決して安くはないんですよね。最安値の物理サーバーとクラウドを比較すれば、物理サーバーの方が安くなります。価格面では「時間課金」ということが重要で、負荷に応じてスケールアウトできることが最大のメリットだと思います。

I:あと、立ち上げ時にサイジングを厳密にしなくていいというのもメリットですよね。最初に多めに借りておいて、余ったら返すとか。ある程度スペックが安定してからリザーブドインスタンス契約にして価格を下げるとか。

Y:そういうインフラの柔軟性がクラウドの良いところですよね。


---性能を支えるファシリティに関してはいかがでしょうか。2014年はアジアでのデータセンター開設が目立ちましたね。

Y:Azureは、現在、日本国内のデータセンターが東京・大阪の2か所あります。マイクロソフトの規定では、違う地域のデータセンターは500マイル(800km)離さないといけないらしいのですね。ところが東京と大阪はそこまで離れていない。つまり、規定を変えて設置したということで、日本市場を非常に重視していることがわかります。

I:AWSも日本リージョンとしては東京に1つですが、データセンターとしては2つあります。

Y:Googleもアジアデータセンターを開設しましたし、vCloud Airの国内データセンターも11月に開設されました。

I:その後、12月にはIBMがSoftLayerの東京データセンター開設を発表していましたし、日本のユーザーは選び放題ですね。


---サポート体制の充実度はいかがでしょうか?

Y:クラウドは基本的にセルフサービスです。サポートに困ったという話はあまり聞きませんが、もちろんマイクロソフトのサポートがあるほか、ユーザー会や掲示板が充実しています。

I:re:Inventで聞いた話ですが、AWSは本業が小売り事業なので、お客様を大切にしたいという思いから、トラブルには特に丁寧に対応しているそうです。世界中のサポート拠点で24時間体制で1次受付を行い、拠点間で連携しながら最短での解決を目指しているそうです。


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クラウド関連資格とトレーニング

クラウド関連資格とトレーニング ---エンジニアやユーザーの育成体系は整備されていますか?

Y:マイクロソフトでは、スペシャリスト資格を取得できるAzure初の日本語試験(70-533)が、先日配信開始になったところです。ほかに2試験が提供されていますが、現在は英語のみです。ただ、今後はかなり力を入れていくと聞いています。

I:AWSの人材育成体系としては、3段階のレベル別でアーキテクト(設計)・デベロッパー(開発)・システムオペレーション(運用)の3つのロール(役割)をベースとした認定資格が用意されているのですが、2014年11月に突然、『DevOps』が新たに追加されました。 re:Inventでβ版が受験できたので、試しに挑戦してきました。個人的な予想ですが、日本でも夏ごろには出るのではないでしょうか?(※編集注:2015年6月のAWS Summitより日本でも受験可能になります。)


---AWSのDevOps試験はどうでしたか?

I:内容としては、デプロイ(インストールと展開)をテーマとした問題が多かったですね。AWSはシステムの構成変更やセキュリティアップデートの際は、イメージごと入れ替えることが多いので、必然的にデプロイの機会が増えることになります。


---手ごたえのほどは......?

I:難しかったです!英語力の問題もありますが、英語圏の受験者もぎりぎりまで粘っていましたよ。AWSのほかの認定試験は机上で学んで合格できる可能性もありますが、DevOps試験は実際に運用している人じゃないと受からないと思います。しかも、DevOpsのサイクルで、AWSで開発・運用を経験している人でないと厳しいと感じました。

Y:AWSの担当者は実際にDevOpsで進めているというか、役割別に業務をしていないのかもしれないですね。

I:そうですね。新サービスについては、プレスリリースファーストで、コンセプトの決定から開発、テスト、リリースまで1チームで進めると聞きました。当然、AWS社内では役割別ではなくフルスタックの知識が求められることになります。

Y:その点、Azureはまだ業務が分化していると思います。まだ、開発担当者と運用担当者の交流が少ない現場もあるようです。


---トレーニング受講者の傾向を教えてください。

I:AWS関連の受講者は、以前は開発部門の部長や営業マネージャーの方が多かったのですが、今はほとんどが現場のエンジニアになりました。特にインフラ系のエンジニアの方が多いです。また、「Architecting on AWS」の受講も増加しており、毎回ほぼ満席です。一社向け研修のご依頼も増えています。

Y:Azureも上位コースが間もなく出ますが、今はコースが多くないので、お客様層にはバラつきがありますね。インフラエンジニアの方だけでなく、マネジメントの方も来ています。


---Azureの上位コースについて、もう少し詳しく教えてください。

Y:ハイブリッドクラウドの構成について学び、社内とクラウドをシームレスに接続することを目標としたコースです。
Azureは、多くのユーザー企業がオンプレミスのシステムを多数持っているというマイクロソフトの強みを活かし、社内システムとの連携を重視していますね。


---Active DirectoryやOfficeも社内システムの核になっていますね。

Y:そうですね、Active Directoryや、SaaSとしてのOffice 365との連携も強みです。認証にActive Directoryを使えば、パスワードを変える必要もありません。 Office 365に関しては、連携する際に使い勝手が変わったりするので、トレーニングを受講していただくことをおすすめします。


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クラウド今後の動向

クラウド今後の動向 ---最後に、AWSやAzureに限らずクラウド関連の今後の動向について注目のポイントを。

Y:SoftlayerはIaaSなのに、物理マシンが使えるというのが面白いなと思っています。サーバーを仮想化するのにHyper-Vを入れても、VMwareを入れても構わないということになりますね。特にIaaSは各社のサービスが出揃った感じなので、今後の動向に注目しています。

I:各サービスともにDockerをサポートするなど、アプリケーションの仮想化にコンテナ型仮想化技術を採用し始めた点に注目しています。

Y:Microsoft Azureも次期WindowsとともにDockerをサポートすると発表がありました。

I:Googleではコンテナ型仮想化技術の上で全て実行されているというような発表もありましたね。Dockerのような技術によって、今後、DevOpsの流れがさらに加速するのではないでしょうか。

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コースラインナップ

トレノケートのパブリッククラウド関連コースラインナップ

トレノケートでは、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platform、SoftLayer、Salesforce等、代表的なパブリッククラウドベンダーのトレーニングを提供しています。

 ※各ボックスをクリックすると、提供コースの詳細をご覧になれます。
Google Cloud Platform 認定トレーニング SoftLayerトレーニング Heroku 集合研修一覧 Salesforce.com 集合研修一覧 Microsoft Azure関連トレーニング Office 365関連トレーニング アマゾン ウェブ サービス(AWS)認定トレーニング

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本インタビューを掲載した研修総合カタログ
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研修総合カタログ『Education Guide Digest 2015 Spring/Summer』 (12M)



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