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法人向けサービス事例紹介

中外製薬株式会社 2010年度

企業戦略にリンクした人財育成制度を創る!
OJTを通して、新人も先輩も共に成長できる「共育」を実現


中外製薬株式会社
本社外観
本社外観

中外製薬株式会社
所在地
本社
〒103-8324
東京都中央区日本橋室町2-1-1
設立
1943年3月
代表者
永山 治
資本金
730億円
(2009年12月31日現在)
事業内容
医療用医薬品の製造・販売・輸出入
 URL  http://www.chugai-pharm.co.jp/ 
中外製薬の人財育成ポイント

  • トップ製薬企業を目指す変革期の今こそ、次代に向けた成長へのチャンス。
  • 高成長の実現に向けた大量採用と早期戦力化を推進。
  • 将来のマネジャー候補を、新人指導者の「OJTコーチ」に起用。
  • あえて外部研修機関を利用して、OJT コーチ研修を実施。
  • 教える側も指導される側も、共に成長していく
    ―――
    そんな「共育」を実現。
  • 経営層のリーダーシップの下で、全社員が「3つの想い」をもって人財育成に取り組む。
  • 人財育成マインドを企業文化として定着させるためには、最低でも3~4 年が必要。
 
業界の転換期を好機として捉え、攻勢に打って出るために

中外製薬株式会社 人財育成部 薬学博士 中村 和雄
中外製薬株式会社
人財育成部
薬学博士
中村 和雄 氏


中外製薬株式会社 人財育成部 役割強化グループ・グループマネジャー 犬飼 浩文
中外製薬株式会社
人財育成部
役割強化グループ・グループマネジャー
犬飼 浩文 氏

  国の医療費抑制施策や後発品(ジェネリック)市場の拡大の中で、大手製薬企業各社は、厳しい経営環境に置かれています。さらに、2010年前後に世界最大市場である米国での各社主力製品特許が、相次いで期限切れを迎える「2010 年問題」も、深刻化してきました。ここにおいて製薬各社は、勝ち残りを期した企業戦略を活発に展開しています。

 その中で、中外製薬株式会社(以下:中外製薬)は、2002年にロシュとの戦略的アライアンスを締結。現在、第三創業期を迎え、自主経営による独自性と国際的相互協力を両輪に、トップバイオ医薬グループとしてのアドバンテージを発揮して、この変革期を大きなチャンスとして捉えた戦略を推進しています。
今回は、人財育成部の中村和雄氏、および人財育成部役割強化グループ・グループマネジャーの犬飼浩文氏に、中外製薬が取り組んでいる人財育成制度についてお話を伺いました。

 中外製薬の競争優位性を支えるコア・コンピタンスは、新薬開発力や年商100 億円超の大型製品を多く擁していること、そして、癌やバイオの領域で高い市場シェアを獲得している点です。目下中外製薬は、癌をはじめ、高い医療ニーズがありながら未だに有効な治療方法が充足されていないアンメットメディカル二ーズに応え、ファーストインクラス・ベストインクラスの新薬開発により、トップ製薬企業の実現を目指しています。

 中期経営計画『Sunrise 2012』では、「国内トップクラスのプレゼンスの確立」、「国内トップの高成長の実現」、「ロシュ社との“Win-Win”関係の強化」を進め、2012年に連結売上高4,600億円、連結営業利益800億円達成を目標としています。このため、2005年以来大量の人財を採用してきました。「2005年から2008年の4年間だけでも、1000名を超える新卒採用をしており、人財の早期育成と戦略化が緊急の課題となっていた」と両氏は語ります。
 
新人の成長環境を築き、成長を加速させる伴走者として

トップ製薬企業にふさわしい人財とは
中外製薬が考える人財開発の基本は
―――


● 3 つの「想い」(動機) 「患者さんへの想い」
「製薬への想い」
「仲間への想い」
 
● 3 つのC(姿勢) “Challenge(挑戦)”
“Commitment(当事者意識)”
“Communication(相互連携)”

このフィロソフィーによって、動機づけを行い、さらに挑戦力や思考力、専門能力など10の能力要素を身につけ、情報活用や目標設定をはじめとする5つの役割行動を通して、成果を達成できる人財づくりを進めています。
 同社の人財育成部:中村和雄氏は、人財育成の基本はOJT だと語ります。「新人の自立支援や早期戦力化のための能力開発を図る最大の機会は、実務を通じたOJTです。OJTは、各自の適性や希望に沿いながら教育研修や配属を組み合わせていくCDP(Career Development Program)や、eラーニング、社内外研修などの自己啓発に基づくOff-JT、さらに、処遇や異動・登用などと有機的に結びつけ、モチベーションアップやマインド創り、能力開発の機会を提供する仕組みを継続的に回していくことがとても効果的なのです」

 また、変革期を勝ち抜くための能力をスピーディに育成するために、部門横断的に実行する人財基盤強化プログラムと、各本部レベルで実施する機能別の専門性強化プログラム、さらに将来企業の中核を担う人財となるためのFCL(Future Core Leaders)プログラムを有機的に連携し、立体的な研修体制を進めています。

 特にOJT に際しては、同社の管理職となるステージ4の社員が、3年間『OJTコーチ』を務め、1対1で新人に向き合い、自らロールモデルを提示して、彼らが一人前に育つまでの伴走役を担う体制を整備しました。「新人の戦略化は、一般的に採用~育成~定着というステップで進みますが、彼らは入社前後のギャップに悩み、さらに育成環境が整備されていないと、壁に突き当たって苦しんだり、成長実感を得ることができなかったり、という状況に追い込まれます。またそんな状況が続くと、定着率の低下を招いてしまいます。そこで、ギャップの解消を含めた社会人としての自立、専門業務の主体的遂行、能力開発の動機づけなどを支援するのが『OJT コーチ』の役割です」

3ヵ年育成パッケージ
 

強力な企業理念を基に、全社員一丸となって新人の育成を支援

  「私たちは、『OJTコーチ制度』導入に際し、グループマネジャー(GM)※1にトップ製薬企業を目指す企業戦略の中で、新人の早期戦力化の必要性を訴え、認識の共有を図りました。さらに『OJTコーチ』の経験を通じて、将来のマネジャーとなるべき中堅社員が、自己に潜在するノウハウや知識などの顕在化が図れ、さらに、『人を育てられる人財』として自身も成長することなど、『教える側も指導される側も共に育つ【=共育】』の考え方に立った組織風土の醸成を進めました」(中村氏)

 GMとOJT コーチ役が新人一人ひとりをきめ細かくフォローするとともに、周囲の社員もそれぞれの得意分野で業務指導に参加し、グループ全体で人財育成を担う文化が生まれています。

 人財育成部役割強化グループ・グループマネジャー:犬飼浩文氏はその経緯や初年度の苦労を、以下のように語ります。「もちろん、旧来も新人育成支援の体制はあったのですが、配属先の育成方法にバラツキがありました。そこで私たちは、トップ企業に向かうための大量採用に対応し、経営指針に沿った形で人財を早期に育成するシステムを制度として標準化・定着させ、開花させることを目指しました。しかし社内には、これまでのやり方でうまくいっている、働き盛りの社員を『OJTコーチ』に起用すると、現場の戦力が削がれる…、という懸念や反対があったことも事実です。そこで、私たちは、そのような不安の払拭と社内の意識統合や啓発への努力を重ねました。本制度が開始した2007 年度のOJTコーチ研修では、人事担当役員が檄を飛ばし、経営意思として新人育成を進めるという『真剣度』をアピール。次年度からは、各本部長が部門ごとに求められる人財像を語ることで、『OJTコーチ』への期待を浸透させていきました」

 配属された新人と向き合って半年後にはOJTコーチを招集したワークショップを開催し、人財育成を進める企業意思を再度共有し、当事者意識をもって若手の育成に関わることと、『共育』によって自分自身も成長できることへの共感を高めました。

 さらに、社内報やメールマガジンなどあらゆる機会を通じて、『OJTコーチ』制度に基づく人財育成の大切さの浸透に努めました。

 
OJTコーチ制度
 
 
長期的視点で、人財育成制度の定着を目指す

OJT研修のタイムテーブル
2005 年からの4 年間で、新卒者だけでも1000名強という大量採用を続けてきた同社の場合、ステージ4社員だけではOJTコーチの人財が不足します。そこで、役割を限定した上で、ステージ2・3 の一般社員にも、『OJTコーチ』役を担ってもらっています。「当社のマネジャーの特性を分析した結果、相対的な年齢の若さも手伝って、自ら率先して動くプレイヤー型が多いことが判明しました。これは、瞬発力や機動力の面でのメリットが大きい一方で、自ら動いてしまうために後進が育ちにくい、という一面も伺えます。そこで、将来マネジメントを担う上で、若いうちから他者を鼓舞し、動かすことを学ぶ効果は大きいと考え、あえて一般社員も登用する体制をとりました」(犬飼氏)

 営業を担うMR※2 以外の社員は、毎年4月20日前後に配属が決まります。そこで、それ以前に『OJTコーチ』に任命された人財に対する研修を実施し、新人育成の背景やOJTコーチ制度の意義・内容、自らの役割への認識と理解を深めてもらいます。

 この重要な『OJTコーチ』研修のパートナーとして、4年来グローバルナレッジが選ばれています。「コーチ役の研修には専門性に優れた外部研修機関を導入したいと考えていたところ、あるセミナーでグローバルナレッジに出会いました。DEC 教育部が母体であることから、IT教育に特化した企業イメージがありましたが、人財育成の基本ポイントは、業種業界に縛られないユニバーサルな共通項を持っているはずです。数社の人財教育企業を比較検討して、教育プログラムのコンセプトや内容、展開方法を精査しました。

 他業種を含めた多くの事例を有しており、人財育成に関わる上位概念からの視点で教育を進めていること、そしてわかりやすい例示などで、理解を深めようとする講師の工夫などを総合的に判断した結果、グローバルナレッジを選んだのです。人財育成が企業文化として定着するには、最低でも3年~4年は必要です。そこで息の長いおつき合いをお願いしたわけです」(中村氏)

「実際の指導に当たる『OJTコーチ』の実践マニュアルや、何をいつまでに誰と実行するのかという指導計画書やその記載方法、運用などにおいても、グローバルナレッジのノウハウを導入しました。カリキュラム構成や研修スケジュールについても、こちらの細かい要望に柔軟に対応していただき助かっています」(犬飼氏)

 このように、グローバルナレッジでは初年度のカリキュラムを中外製薬とともに何度も見直し、1回目と5回目では全く違うカリキュラムになるほど修正を繰り返しました。標準的なカリキュラムをもとに、現場の声を聞きながら、両社が一緒に工夫を重ねて作りこんでいったのです。定番のカリキュラムを提供するのではなく、『お客様と共に進化するプログラム』を提供できることがグローバルナレッジの特徴です。
 

新人・コーチともに成長を実感。さらに大きな波及効果も・・・

  前述の「3 つの想い」と「3 つのC」を基盤にした新人早期戦略化の取組みは、OJTとOff-JT を年次毎に組み込んだ“3ヶ年育成パッケージ”として3 年間継続されますが、修得レベルに達したと判断されれば各部門の判断で期間を短縮したり、逆に延長したり、目標を重視しながら柔軟に行っています。新人の定着率が際立って高いことにもOJT 制度の成果が現れています。

 同社は、研修終了後も新人、『OJTコーチ』、さらに上司も巻き込みアンケートによる追跡調査を実施。その結果を、秋のワークショップや次年度研修にフィードバックする努力を重ねています。「調査結果から、新人のモチベーション形成やスキル継承などの成果はもちろん、『OJTコーチ』自身も自己の成長や、弱点の明確化・克服、人を育成する喜びや重要性などを実感していることが確認できました。私たちの『共育』の狙いは正しかった、と自負しています」(犬飼氏)

 さらに、これまで独自の研修体系を構築してきた営業本部や、固有のメンター制度を実施してきた生産部門からも、「『OJTコーチ』を中心とした本社の育成制度を採り入れたい」という声が、あがり始めました。「部署はそれぞれ違っても、トップ製薬企業を目指す中外製薬の一員として、新人の早期戦力化を図る研修体制は均質で同じ方向性をもつべきものだと思います。その意味からも、この動きを歓迎し、さらに実効性のある高品質の研修体制に到達していきたいですね」(中村氏)
 

※1 グループマネジャー(GM):ステージ4 以上の管理職から選任される個別組織長。

※2 MR:Medical Representative(医薬情報担当者)

 
グローバル ナレッジ ネットワーク株式会社 人財教育コンサルタント・産業カウンセラー 田中淳子

■ 研修をご提供したパートナーとして ■
  OJT コーチ研修に携わり、中外製薬様の「人財開発に対する思い」や「OJT 制度を浸透させようというエネルギー」に感銘を受けております。2007 年の初年度から、中村様、犬飼様には、「ここをもっとこうしたい」「こういう風にできないか」と毎回ご意見をいただき、私もそれに対して「こういう方法はいかがでしょう?」と提案し、より実践的で効果的な研修にするため共同作業を続けてきました。そういう経験を積む中で、「OJTコーチに任命された方の不安は他社のさまざまな事例を聞くことで少なからず解消される」、「『OJTにおけるありがちな例』を使った事例検討を通じて、他者と会話することが、OJT コーチ自身の考え方の整理や今後の対処法の磨き上げに役立つ」、など多くを学ぶことができました。中外製薬様での事例も活用してよいとご許可いただき、当社のテキストもより充実した内容になりました。
グローバルナレッジとしては、今回学んだことをもとに、標準的な研修内容や形式にとどまらず、お客様のご要望に応じて、より効果的なプログラムを柔軟に提案してまいります。

グローバル ナレッジ ネットワーク株式会社
人材教育コンサルタント・産業カウンセラー
田中 淳子

【著書】
「速効!SEのためのコミュニケーション実践塾」
「速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック」
(日経BP 社)
「はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~」
(日本経団連出版)など
【ブログ】
「ヒューマン・スキルの道具箱」

 

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※この事例内容は2010年5月時点の情報に基づいています。

 

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