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開発品質の向上を目指し.NETへ移行
若手エンジニア育成が急務に
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株式会社TKC
執行役員
システム開発研究所
システム開発本部長
岩井 康治 氏
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株式会社TKC
システム開発研究所
税務情報システム開発センター
シニア・システム・エンジニア
稲垣 啓志 氏
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会計と税務を中心とした業務システムを開発、販売するTKCでは、これからの数年で開発環境をすべて.NET環境へと移行しようとしています。生産性・パフォーマンス・セキュリティ等、.NETがもたらす効果と将来性を見据えて開発環境を移行することが決定され、マイクロソフト株式会社との技術提携も交わされました。現在、TKCは全社を挙げて.NET技術者の人材育成に注力しており、毎年約30名の若手エンジニアをシアトルへ派遣し、最新技術を学ぶ機会を設けています。
開発環境の変更に伴い急務となったのが、開発現場で実装を行う.NET技術者の早期育成です。一方でTKCは、若手エンジニアの育成について別の課題にも注目していました。多忙な現場ではOJTが形骸化し、実務の中でスキルを身につけられない若手エンジニアが増えていたのです。実装スキルを身につける時間がない中で、雑務やテストに追われ、顧客への貢献を実感できないという不満の声もありました。
これらの課題を解決すべく、TKCは若手エンジニアの研修に乗りだしました。目的は、.NET開発に必要な技術を身につけ、顧客へ貢献できるエンジニアへと成長すること。若手エンジニアのモチベーションを高めるためには身近な目標設定が必要だと、執行役員でシステム開発研究所 システム開発本部長の岩井 康治氏は考えたと言います。
「TKCの社是は『自利利他』、ひたすら他人の利益のために生きることです。つまり、顧客への貢献こそがやりがいであるという状態が理想です。しかし、若手エンジニアにいきなりそれを求めるのはハードルが高すぎるので、まずは『自己実現』を最初の目標としてもらうことにしました」
自己実現は、「自利利他」に至るための前提として必要な要素です。また自己実現を目標とすれば、結果が自分に返ってくるのでモチベーションも高めやすいという訳です。さらに、エンジニアの成長度を判断する指標のひとつとして、MCP(マイクロソフト認定資格)の取得を目指しました。
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評価基軸の転換と研修の実施二本柱で育成に取り組む
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具体的な施策は、新たな評価基軸の導入と研修の二本柱となっています。まず、入社して3年以内の若手エンジニアを対象に、目標管理の手法そのものを大きく変更し、従来の成果主義から育成主義へと転換しました。上司との相談で自らの成長目標を設定し、その達成度合いが考課に反映される仕組みです。上司には、若手エンジニアを研修に参加させることと、考課面談を欠かさず行なうことが求められました。チャレンジシートと呼ばれる考課面談のためのシートも開発され、効果的に活用されています。
「チャレンジシートには、スキル向上や研修などの目標を書き込み、それに対して上司がコメントを記入するようになっています。研修スケジュールなどをエンジニアに立案させ、上司が支援を約束することで、多忙な現場のエンジニアでも研修に参加しやすいように工夫しています」(岩井氏)
また、研修には現場で役立つ技術の修得と、MCP資格取得の両方を満足させる内容が求められました。研修会社の選定時のことを、岩井氏はこう振り返ります。
「マイクロソフト認定の技術研修を行なっている企業は数多くありますが、中でも幅広い研修を行なっていたのがグローバルナレッジでした。数社を比較検討しましたが、TKCが必要な研修を網羅している点が選択の決め手となりました」
研修の対象となったのは、入社から10年以内の若手エンジニア300名余りです。成長に応じて挑戦できるよう、5段階のスキルレベルが設定されました。.NET開発の前提知識を学ぶMCA(マイクロソフト認定アソシエイト)は、実装を行なわないサポートスタッフにも受講が義務付けられ、全体の知識レベルの底上げが図られています。実装に携わるスタッフはMCA取得後、MCTS(マイクロソフト認定テクノロジースペシャリスト)、MCPD(マイクロソフト認定プロフェッショナルデベロッパー)、MCITP(マイクロソフト認定ITプロフェッショナル)へとステップアップしていきます。エンジニアのモチベーション向上策のひとつとして、目標となる資格に応じた報奨金も支給されます。
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現場で役立つ+資格取得研修の効果を実感
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実施された研修は、.NET Frameworkの基礎、データベース、Webアプリケーションの開発など、12種類に及びます。開発者としてしっかり理解しなければならないポイントや、現場で役立つポイントが絞り込まれ、演習を通じて効率よく必要なスキルを身につけられます。さらに、研修の理解度をチェックするための確認テストも用意され、受講するエンジニアの目的に合わせてカスタマイズされました。実際に受講したシステム開発研究所 .NETエンジニアリングセンターのシニア・システム・エンジニア 稲垣 啓志氏は、研修は期待通りの内容だったと語りました。
「技術の基本をしっかり学んだうえで試験の傾向も把握できるので、資格取得にとても役立ちました。もちろん自助努力は必要ですが、ポイントがどこにあるかわかるため、効率よく学習できます」
> さらに、研修で修得した技術は実務でも役立っていると、稲垣氏は言います。社内で共有されているテンプレートプログラムを読み解く際にも、短時間でスムーズに理解できるようになったそうです。研修の結果、資格取得者が大幅に増加したのはもちろん、それに伴って社内の雰囲気にも変化が表れてきました。
「試験会場で社員の姿をよく見るようになりました。社内や寮でも、同僚が勉強する姿を普通に見かけます。職場全体に、知識習得を重視する雰囲気が広がってきました」 (稲垣氏)
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スキルの底上げに成功
全体が知識習得を重視する傾向に
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研修風景
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若手エンジニアを対象とした取組みから生まれた知識習得重視の雰囲気は、ベテラン社員や簿記検定など他の資格を目指す社員にも波及していると岩井氏も指摘します。
「一般に、ベテランになるほど資格よりも目の前の業務を優先する傾向にありますが、TKCでは若手に触発されてベテラン社員の資格取得が増え始めています」
また、この研修がエンジニアのスキルアップにつながっていることも、その後の分析で明らかになっています。研修に取り組み始めて1年が経過した2009年に人事考課を比較したところ、資格取得者と資格未取得者とでは考課ランクの偏りに差が見られたのです。資格取得者は全体的に上位ランクが増加し、下位ランクのエンジニアが明らかに減少していました。この結果を岩井氏は次のように分析します。
「エンジニアのスキルが底上げされ、モチベーションも上がってきて、実際の業務に良い影響を与えていると思います」
こうした効果を受け、TKCではSQL Serverの研修も展開するなど、さらに幅広いスキル分野での人材育成に向けて取り組んでいます。
「若手エンジニアのスキルを底上げできることが実証されたので、今後も研修を中心にエンジニアの育成を全社で進めていきたいと思います。今後はさらに上のレベル、「エースの育成」に取り組んでいきたいですね」(岩井氏)
現場まかせのOJTから、組織全体がエンジニアの実務スキル修得と自己実現をサポートする研修へ、TKCの若手エンジニア育成は新たな扉を通り抜けたばかりです。これからさらに高い目標を目指して、グローバルナレッジは引き続き人材育成を支援していきます。
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■ 研修を終えて ■
資格取得を主眼にした研修というと、試験勉強的な学習内容をイメージされる方もいらっしゃるでしょう。しかし、本研修プログラムでは、単に試験勉強的な研修のみではなく、実務で必要となる.NET Frameworkのスキル修得をとおして、受講者の資格取得をもご支援できるようにする必要がありました。そのため、研修運営上、いくつか工夫して実施しました。
研修プログラムを実施している途中でも、TKCの研修担当者様と打ち合わせをさせていただき、対応できるところはすぐに変更/修正しながら現在の形にしてきました。そのような意味で今回の研修プログラムの構築はTKC様との共同作業と認識しています。
今回の一連の研修を通してTKC様の.NETエンジニアのスキルアップや.NET開発環境へのスムーズな移行に貢献するだけでなく、ソフトウェア品質の向上、ひいてはTKC様の顧客満足度向上へ少しでも寄与できればと考えています。
グローバル ナレッジ ネットワーク株式会社
ソリューション本部
アーキテクチャグループ
マイクロソフト認定トレーナー、MCPD
芝山 賢
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