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ホーム > 法人向けサービス > 法人向けサービス事例紹介 > 株式会社JTB情報システム 2009年度

法人向けサービス事例紹介

株式会社JTB情報システム

「育ちたい・育てたい」風土を醸成

~次世代へバトンタッチ!若い人に「場」を提供し、世代継承を目指す~


株式会社JTB情報システム

1998年に株式会社ジェイティービー(以下、JTB)の情報システム部と株式会社JTBソフトウェアサービスが統合されスタートした株式会社JTB情報システム(以下、JSS)は、主にJTBグループ企業を対象にIT戦略の推進を担っている企業です。JSSはJTBのIT企画部から受注を受けて大規模プロジェクトの開発・運用を行っていましたが、2006年にJTBグループの体制変更があり、より主体的にJTBグループのIT戦略に参画する事が求められるようになりました。

基幹業務のシステム環境がレガシー中心からオープン系へ移行し、インターネットを利用した旅行の企画・販売を支えるシステム企画の要請などから、新技術への対応も必要となりました。

このような環境変化によって、従来のレガシーシステム技術の継承と新技術への対応のみならず、上流工程の業務を担う人財やグループ企業との交渉や調整など、ヒューマンスキルやプロジェクトマネジメント能力が必要となりました。

JSSは全社的な人財育成の取り組みの根幹として、2007年より人財育成委員会を発足し、様々な活動を通して社員が自ら育ち、部下を育てる意識を醸成しようとしています。この背景には、未来に向かって躍進するJSSの礎を、自分たちの代で築き、次世代に引継ぎたいという経営陣の強い想いがあります。JSSが継続的に人財を育成できる仕組み作りを、グローバルナレッジは支援しています。


   株式会社JTB情報システム
  株式会社JTB情報システム
  
本社外観
本社外観

株式会社JTB情報システム
所在地
本社
〒151-0061 東京都渋谷区初台1-53-6
初台光山ビル
設立
1984年2月
代表者
佐藤 正史
資本金
1億円(授権資本2億円)
事業内容
JTBグループ各社に向けてITサービスを提供するシステム開発企業。1984年に創立したJTBソフトウェアサービスを前身とし、1998年にJTBの情報システム部門との統合を経て現在の社名に。
 URL  http://www.jss.co.jp/ 
※2009年12月現在

  JTB情報システムの課題
  • JTBの新グループ経営体制への変更によりグループ内でのJSSの役割が上流へシフトし、求めらる人財像が変化
  • 新たな旅行パッケージの開発にともなう新技術への対応と、レガシーシステムの技術の世代継承
  • マネージャーやエンジニアが各自の業務を通して成長し続けられる現場の体制作り
  • 自発的に育つ意識を持たせて、JSSの人財力を次の世代に継承
  JTB情報システムとグローバルナレッジのソリューション
  • 経営陣が一堂に会し、目指すべき事業を明確にした上で、事業実現に必要な人財について討議する場を創造
  • JSS版ITSS(ITスキル標準)により社内の人財の能力を把握し、人財ポートフォリオを作成
  • 人財育成委員会での仕組み作りに着手、現場の人財育成推進担当(部長)と連携し、スキル診断、個別育成シート、育成面談などの手法で新しい取り組みを開始
  効果と展望
  • メンバーが自ら成長する意識、マネージャーが部下を育てる意識が定着しつつある
  • 社員自身が自分の能力を把握でき、キャリアパスを明確に策定できる
  • 仕組みのさらなる改善と、全社への意識浸透に向けた次のステップを考案
 
外部環境の変化にともない
人財戦略の大幅変更が必要に

株式会社JTB情報システム 執行役員 基幹システム運用第1本部長 永井 雄二 氏
株式会社JTB情報システム
執行役員
基幹システム
運用第1本部長
永井 雄二 氏


  JSSのミッションは、JTBグループのITインフラ構築とIT戦略の立案・推進です。

  「1998年以前は、JTBの情報システム部門が窓口となり、要求仕様の取りまとめやITの活用提案はそちらで担当していました。JTBソフトウェアサービスは仕様通りにシステムを構築すればよかった。しかし、統合後は、ユーザーと直接対応するようになったため、JSSに要求仕様の策定をはじめとする上流工程の業務が求められるようになりました」と執行役員・基幹システム運用第1本部長の永井雄二氏は言います。

  さらに永井氏は、「JTBの基幹システムである旅行予約・情報検索システム「TRIPS」をレガシー系からオープン系に再構築する巨大プロジェクトへの対応や、JTBグループの新グループ経営体制への変更に伴い、JSSに求められる能力・役割がさらに大きくなってきた」と語ります。

  企業の役割が変われば、社員に求められるスキルも変化します。システム構築の技術力だけでなく、プロジェクトを成功に導くためのヒューマンスキルを含む総合的な力が求められるようになったのです。


 

研修制度の再整備に着手

株式会社JTB情報システム PM Adviser 松本 光太郎 氏
株式会社JTB情報システム
PM Adviser
松本 光太郎 氏


  従前、レガシー系(汎用機、AS400)の技術継承をしつつ、新たなオープン化への対応に向けた、技術研修を中心に研修を実施していました。

  2003年頃からは、ヒューマンスキルの研修も充実させていきました。しかし、研修メニューは増やしたものの、受講者に研修の目的がきちんと伝わっていなかったため、上司から受講するように言われたから受講したというスタンスの社員も少なくなかったのです。

  「目的を理解して受講し、その知識が現場で生かされて身につかなければ意味がありません。受講させるだけでなく、現場のビジネスと連携して研修を行っていくようにしたい、そのための体制作りが重要だと考えました」
 PM Adviserの松本 光太郎氏は、人財育成の強化が必要だと思いつつ、自分達だけでできる事に限界がある、と感じていたそうです。

  さらに松本氏は、「自分達が一生懸命取り組めば、今現場にいるPMたちは成長するかもしれません。しかし、人財育成は一時的な取り組みだけでなく、継承していくサイクルを作らなければ次の世代を継続的に育てる事ができないのです」と語ります。

  2007年春から人財育成施策の強化が必要だという認識が広まりつつある中、JSSのパートナーとしてグローバルナレッジに白羽の矢を立てました。グローバルナレッジは研修プログラムを提供するだけでなく、JSSに合わせた研修カリキュラムをカスタマイズして作ったり、様々な疑問に対して育成事例を元にアドバイスしたり、育成の仕組み作りへの柔軟な対応ができる点が選択の決め手でした。

  「完成している既存の教育プログラムだけでなく、JSSのために人財育成の仕組みを一緒に考えてくれるパートナーが必要でした。実は技術教育を他の教育会社さんにも依頼していますが、グローバルナレッジさんは単なる研修企業というより人財にまつわる色々な知恵を共有できるところが強みだろうと思います」(松本氏)


JSSのグループ内における役割の変化
 

将来のJSS事業に関する議論
「LPPS」の実施と「人財育成委員会」の発足


株式会社JTB情報システム 業務部 担当部長 大沢 勇雄 氏
株式会社JTB情報システム
業務部 担当部長
大沢 勇雄 氏


  JSSとグローバルナレッジは最初に、JSSを取り巻く環境の変化や、それに伴う人財戦略の変更についてインタビューを行いました。その結果、社内で人財育成について意識あわせをする必要があると考え、JSSの社長以下全役員と合同で「LPPS(Learning Process Planning Session)」(合意形成のためのグローバルナレッジの手法)を実施しました。これは経営の観点でJSSの強みや弱みを把握し、今後の外部環境変化や事業計画を考慮した上で人財育成の方向性に同意するというものです。

  LPPS実施後にJSSは現場部門も巻き込み、グローバルナレッジと共同で、人の育成の本質を鑑みながら、研修ロードマップを作成しました。その後、継続して育成を検討する必要性を確認した結果、2007年10月に人財育成委員会を発足させ、現場の部長を人財育成を目的とした「人財育成推進担当」として任命しました。人財育成委員会では、大きな柱として、育成を推進するための「個別育成計画策定」、業務を見据えキャリアを検討するための「JSS版ITSSスキルスタンダード策定」、研修内容を最適化し、目的にあった研修を受講できるようにするための「研修企画・運用プロセス策定」を推進しました。業務部担当部長の大沢勇氏は、「人財育成委員会での検討以前は、どのような人財に育ってほしいかという明確な指標がなかったので、検討中のカリキュラムが本当に正しいアプローチなのか、判断できなかった」と語ります。


人材が育つ仕組み

PM育成/PMスキル強化研修結果報告(2009年度ヤンセンファーマ調査)
 

現場と教室の連動
「個別育成計画」の推進


  JSSで行っている全社員を対象にした個別育成計画の取り組みは、個人のキャリア形成をこの先2年間のスパンで計画する仕組みです。ポイントは、1.メンバー自身が記入した個別育成シートに基づいてマネージャーとメンバーが対話する「面談」、2.目指す人財像へのキャリアパスやジョブアサインを視野に入れた育成、3.研修した事が現場で役立ち効果を上げていると実感できる事(ワークプレイスラーニング)の3点です。
  現場の体制の重要性について、執行役員の永井雄二氏は語ります。

  「人は教室では育ちません。得た知識を使いこなす事で、現場で育つのです。しかし、一人だけで育っていく事もできません。現場のメンバーが自ら育ちたいという意識を持ち、なおかつ周囲が育てようという意識を持たなければ、人財の成長はありません」
 
現場の声

  人財育成の取り組みを始めて1年。現場のマネージャー、メンバーに対してグローバルナレッジがヒアリングを行ないました。会社の風土や雰囲気、人財育成や育成委員会について、様々な意見が聞かれました。

現場の声
 

グローバルナレッジの
アドバイスや事例が役に立つ


  カリキュラムの検討、育成の体制作りの主体は人財育成委員会にありますが、色々なケースでグローバルナレッジが行ってきたアドバイスが役立った、と永井氏は語ります。

  「人財育成委員会でしっかり議論した上で目的や情報を伝えて、さまざまなアドバイスをもらいました。グローバルナレッジさんは研修専門企業として解決策の引き出しをたくさん持っていて、こちらが抱えている問題に対して具体的な提案をしてくれる、頼もしいパートナーです」

  JSSは人財育成への想いや現状の課題を出し、グローバルナレッジがそれに対して具体的な手法や議論のたたき台を提示し、双方で討議した結果をさらに反映させるというサイクルを繰り返して、各種施策、ドキュメントに具現化していきました。

  「研修を受ける事が目的ではなく、社員の能力向上が目的である」事を初期の段階で確認し、両者はベースとなる信頼関係を築いていきました。
 

意識浸透のさらなる推進

株式会社JTB情報システム 業務部 調査役 人財育成担当 鈴木 直子 氏
株式会社JTB情報システム
業務部 調査役
人財育成担当
鈴木 直子 氏


  2年目に初めて委員会メンバーとなった業務部調査役人財育成担当の鈴木直子氏は、基礎部分ができたものの、まだ道半ばだと語ります。

  「仕組みだけでなく、そこに魂を込めなければ生かされません。日々育つ意識、日々育てる意識を持ってもらう事が重要です。またメンバーになってみて実感したのですが、委員会活動に参加する事で色々な活動への意識がとても高まりました。もっと多くの社員にも、自分の問題なんだと感じてもらいたいですね」

  現在の委員会の取り組みが、将来は全社に浸透して定着する事が理想だと永井氏は言います。

  「一時的な取り組みだけでなく、育ちたい・育てたいという意識が全社に浸透し、それを支える組織として委員会が定着するのが理想です。人財育成は常に道半ばで、終わりはありません。常に見直し、活動を継続して、人財の世代継承ができればと思います」
  人財育成に取り組みをさらに推進していくためには、全社的な努力が欠かせないものであると締めくくりました。

Before After
 
プロフェッサーの視点から

東京大学 大学総合教育研究センタ 准教授 Ph.D. 中原 淳氏

東京大学
大学総合教育研究センタ
准教授 Ph.D.
中原 淳氏

  JSSさんの取組みは、かつて職場に暗黙のうちに埋め込まれていた「次世代の人材を育成する機能」を「明示的な仕組み」として制度化する試みだと思います。グローバル化のうねりの中で雇用流動性が高まり、かつ仕事が大規模化、スピード化、複雑化する中で、かつては暗黙のうちに機能していたと思われる「人材育成」が機能不全に陥っているといわれています。企業が競争優位を獲得するためには、近い将来必要とする人材をいかに確保するかが問題になると思います。戦略の変化に応じて、人材を内部資源としていかに確保できるかどうかがポイントになるのではないでしょうか。

  現在のミドルマネージャーの方々は、自分が若かりし頃、明示的に「育成された」という意識を持ってはおりません。ゆえに、「部下の育成」という仕事を与えられて戸惑いを感じているかもしれません。「やらされ感」「押しつけ感」なく進めてもらうために、「部下の成長イコール自分の成果」だと素直に感じてもらえるような評価体制づくりが求められるでしょう。「部下の成長が自分の評価」として認められる社風を作り上げることができれば、次世代育成を継承していくサイクルの定着にもつながります。

  また、「育てていくべき人財像」についても、全社で共有できるといいですね。JSSさんでは3年先を見据えて人財ポートフォリオを描き、そこで必要な人財を育成するよう教育を進めています。これから人財育成に取り組む企業は同じように、数年後の社会、そこで果たすべき自社の役割を明確に思い描き、そのときに社員が持つべき能力を予測して取り組むといいでしょう。さらに、育成の現場に立つ方々、JSSさんで言えばマネージャークラスの方々にその将来像を共有してもらうこと。そうすれば、企業の目標に近づくこと=部下の成長=自分の成果だと、もっと素直に感じてもらえるようになるのではないかと思います。

 

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