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ホーム > 法人向けサービス > 法人向けサービス事例紹介 > 日立物流ソフトウェア株式会社 2009年度

法人向けサービス事例紹介

日立物流ソフトウェア株式会社

PMコミュニティの導入・実践で
「SEからPMへの意識変革」を目指す


~実戦型プログラム、場創り、複数施策の相乗効果を通して行動様式を変える~


日立物流ソフトウェア株式会社

日立物流ソフトウェア株式会社(以下:日立物流ソフトウェア)は1973(昭和48)年の創立、早い時期から物流に特化したシステム開発企業として成長してきました。日立グループの一員として同グループの企業を主要な取引先とし、ロジスティクスITの技術を磨いています。同社は開発技術だけではなくプロジェクトマネジメントの力をつけることで効率性や採算性を向上させるべく、グローバルナレッジネットワーク株式会社(以下:グローバルナレッジ)とともにプロフェッショナルマネジメントトレーニングに取り組んでいます。


   日立物流
  日立物流ソフトウェア株式会社
本社概観
本社外観

日立物流ソフトウェア株式会社
所在地
本社
〒135-0016 東京都江東区東陽7-2-14
東陽MKビル6F
設立
1973年8月
代表者
堀安 俊介
資本金
210百万円
事業内容
情報システムの開発およびコンサルティング業務、パッケージソフトウェアの開発および販売業務、コンピュータおよび関連機器の販売業務、労働者派遣業務、情報処理の受託・コンピュータシステムの運営管理 等
 URL  http://www.hitachi-hbsoft.co.jp/ 
※2009年4月現在

  日立物流ソフトウェアの課題
  • 個々の能力向上によるマネージャクラスの人材の総合力の向上。
  • プロジェクトマネジメント力の向上による案件ごとの効率性、採算性の向上。
  日立物流ソフトウェアとグローバルナレッジのソリューション
  • プロジェクトマネジメントに関する知識と実践手法を学ぶ合宿研修22コース研修を実施。
  • 研修後にレビュー、研修内容の見直しを行ない日立物流ソフトウェアの業務に沿った研修を構築。
  効果と展望
  • 研修を含む広範な取り組みの結果、限りなくゼロに近くなった不採算案件の圧縮に成功。
  • 合宿研修、チームでのロールプレイによりマネージャ同士の連携を形成。
  • プロジェクトマネジメント力の底上げに成功し、今後はグローバル対応などさらなるステップアップを目指す。
 
事業拡大を目指し
研修を含め4つの柱を制定

  物流の効率化は業界を問わず命題となっており、そこにはITが積極的に活用されています。日立物流ソフトウェアは、そうしたロジスティクスITを専門に手掛ける企業です。日立グループ内にあり、日立物流や日立製作所の案件を中心にロジスティクスITに取り組んできました。

  その日立物流ソフトウェアは2006年、「ロジスティクスIT No.1企業を目指す」という目標に向けて、全社規模での取り組みを始めました。事業拡大のためには日立グループ内のビジネスを中心にするのではなく、グループ外の案件に積極的に対応していく必要があります。同社は自社の弱点を見直し、強化するために4つの柱を立て、改善に取り組むことになりました。第1の柱は、現場のプロジェクトマネージャ(以下、PM)を支援するためのPMサポートセンタの開設。第2の柱は、プロジェクトの進捗を管理する「フェーズゲート」プロセスの導入。第3の柱は、プロジェクトで生成されたプログラムやコンポーネント、設計書などを共有知識として蓄積するためのナレッジベース「ONEsLOGI(ワンスロジ)」の導入。第4の柱は、現場で働く人への教育です。開発現場では、プロジェクト全体を指揮するプロジェクトマネージャと、それをサポートするアシスタントマネージャ(以下、AM)が活躍しています。教育により現場でのマネジメント力を向上させ、個別プロジェクトの効率アップを目指したのです。PM、AMがプロとして成長していくためのこの取り組みは、「プロフェッショナルマネジメントトレーニング」と呼ばれています。
 

議論と改善を繰り返し
新しい研修を創り上げていく


日立物流ソフトウェア株式会社 システム事業本部 副本部長 兼 PMサポートセンタ長 理事 関 泉 氏
システム事業本部
副本部長 兼
PMサポートセンタ長
理事 関 泉 氏


日立物流ソフトウェア株式会社システム事業本部PMサポートセンタ PMサポートG課長 加瀬 幸裕 氏
システム事業本部
PMサポートセンタ
PMサポートG
課長 加瀬 幸裕 氏


日立物流ソフトウェア株式会社システム事業本部営業開発センタセンタ長 奥薗 弘昭 氏
システム事業本部
営業開発センタ
センタ長 奥薗 弘昭 氏
  プロフェッショナルマネジメントトレーニングを実施した背景には、2006年に行なわれた全社のスキル調査がありました。当時の調査結果を、システム事業本部 副本部長 関 泉氏より次のように教えていただきました。
  『入社8年目から12年目の、プロジェクトの中心となる年代の社員が少ないため、スキル分布にひずみがあることがわかりました。それを補うためには、一人ひとりのスキルの向上を図る体系立てた専門教育の実施が、急務であると感じました。』

  中堅社員への研修の中でも、特に注目されたのはプロジェクトマネジメント力の向上です。それも、現場ですぐに活かせる知識と手法を身につける必要があります。日立物流ソフトウェアは、グローバルナレッジに研修コースの提案を求めてこられました。外せなかった要件は、合宿形式で行なうこと、日立物流グループの研修施設を使うこと、1ヵ月に1度程度の研修を積み重ねるコース研修にすることなどでした。1ヵ月に1度ずつのコース研修としたのは、学んだことを忘れないうちに次の研修が行える期間であり、身につけたことを研修期間のうちから実践していけるようにという考えからです。ターゲットはPMとして活躍する社員36名。これは各グループに2名程度を目安として決められた人数でした。グローバルナレッジは日立物流ソフトウェアの現状について、実際の業務プロセス、グループ会社との関係性や課題となっている収支についてまで詳しくヒアリングを行ない、研修プログラムを提案しました。それをベースにさらに細かい調整を積み重ね、ついに本格的な研修プログラムが完成しました。

  システム事業本部PMサポートセンタPMサポートG 課長 加瀬 幸裕氏の
  『グローバルナレッジさんにお願いしようと決めたのは、細かい要望を聞いてくれて、カスタマイズに応えてくれたからですね。技術的なカリキュラムだけなら他にもあると思いますが、お互いに考えを出しあって当社に合う研修を作っていけるパートナーを探していました』
との言葉通り、研修が始まってからも議論や研修コースの見直しは続き、理想的な研修を目指す努力は続けられました。研修にはPMサポートセンタのメンバ、グローバルナレッジの担当者も出席し、研修内容や参加者の反応を肌で感じ取りました。また研修後に参加者から提出されるアンケートも参考にしながら、研修内容について日立物流ソフトウェアとグローバルナレッジ双方の担当者が集まりレビューを行ないました。そこで出された改善点は、次回以降の研修で活かされます。目標の36名を12名ずつの3期に分けて研修が行われましたが、1期目、2期目、3期目でプログラム自体が大幅に変更されるほど、大々的な改善を繰り返しています。自社にとってベストな研修を目指して真剣に取り組む日立物流ソフトウェアの担当者の熱意に、グローバルナレッジが応えた結果でした。

  その当時の議論を、プロフェッショナルマネジメントトレーニングのスタートに携わった、システム事業本部 営業開発センタ センタ長 奥薗 弘昭氏はこう振り返ります。
  『私たちはもちろん、グローバルナレッジさんも研修をいいものにしたいと考えてくださっているのを感じました。お互いに言うべきことを言い合い、毎回中身の濃い議論になったと思います。言いたいことを言い合える信頼関係を築けたことが、研修を成功に導いた要因のひとつでしょう』


相関図
 

コミュニティの形成による
組織変革をサポート


  ロジスティクスIT No.1企業を目指すためには、個人の成長だけではなく組織の変革も必要でした。合宿研修で知り合ったPM同士の横のつながりが、今ではPMコミュニティとしてひとつの場を形成しています。PMサポートセンタは現場との情報交換やPM、AMへの働きかけを通じてPMコミュニティの成長を促し、組織変革へとつなげていったのです。

  『こうしたコミュニティ形成支援においても、グローバルナレッジさんのサポートが役立ちました。現場の動きや上司からのフィードバックについて情報共有を続け、そのときどきで参考になる意見をもらいながら進められたのがよかったのだと思います』(関氏)

  グローバルナレッジはPMサポートセンタと緊密な情報共有を行ない、PM育成やPMコミュニティ形成という観点から次のステップについて提案を行なってきました。そのひとつが、研修の成果を確実に身につけるために行われるフォローアップ・プログラムです。具体的には、PMサポートセンタと受講生および受講生の上長も交えた会合にグローバルナレッジ関係者が同席し、研修で得られた知識を各職場にどう適用したか、あるいは、適用しようとしているかを発表していただき、各受講生にフィードバックするような研修以外のサポートも行なってきました。研修内容と実際の業務を結びつけることで研修内容を知識から実践手法へと昇華させるのが最大の目的ですが、現場を巻き込んだ場をいくつも作ることでPM同士や現場、PMサポートセンタを含めた場の形成も後押ししてきました。


相関図
 

4つの取り組みが功を奏し
不採算プロジェクトは大幅に削減


  研修のみならず、冒頭に紹介した4つの取り組みの総合的な効果により、不採算プロジェクトは大幅に削減され、営業利益率も大きく向上しました。プロジェクトの不採算性に気づき、早期にリカバリできるようになった結果だと奥薗氏らは分析しています。またPM同士の連携ができて各分野の相談先ができたことや、マネジメントの重要性を理解して仕事への取り組みが以前にも増して積極的になったことが功を奏しているのではないかと考えられています。 『今回のプロジェクトに取り組み始めた頃は、参加者もやらされているという雰囲気でした。しかしマネジメントの重要性がわかり、それが自分の仕事につながっていることを理解するにつれて、意識が変わっていくのを感じました』(奥薗氏) 研修内容自体の効果を探るために、評価方法についても工夫をこらしています。3期目には研修で学んだ内容を実際のプロジェクトに適用し、研修効果を測るという手法をとりました。実際の案件なので効果が見えやすく、利益への貢献がわかりやすいと言えます。 『いずれも、研修により学んだ効果で採算性が大きく向上していました。今回調査した案件への学習内容の適用のしかたや得られた効果を、次回以降の研修の教材として活用することを考えています』

  こう加瀬氏が語るように、プロフェッショナルマネジメントトレーニングはこれからも続けられる予定です。それぞれのグループではPMからグループ内での情報共有も進んでいますが、さらに確固たるものにすべく、研修対象を広げていくそうです。

  『今後は、グローバル対応を視野に入れた研修も考えています。これからも、グローバルナレッジさんとは議論を重ねさせてもらい、当社の業務に沿う研修プログラムの構築におつきあいいただくつもりです。自社内では不可能な研修は、グローバルナレッジさんのお力をお借りし、より高度で専門的な研修を期待したいですね』(関氏)

  高い目標に向けて進もうとする関氏の言葉からは、グローバルナレッジへの信頼とともに日立物流ソフトウェアを、そしてそこで働く"人"を成長させていきたいという熱意が感じられるようでした。
 
フォローアップ研修より

受講生より

座学とロールプレイを組み合わせた研修は実践的で、PMとしての役割がよくわかりました。以前からPMの役割と行動について疑問に思っていましたが、知識としても具体的な行動としても明確にできたので、非常に有意義でした。研修で一緒だった他のPMとは今でも連絡を取り合っています。


上司より

マネジメントが徹底されつつあることを現場でも感じます。相談してくれれば、プロジェクト成功のためにどんなフォローもするつもりです。


WBS (Work Breakdown Structure) 作業分解図

 
プロフェッサーの視点から

横山 哲也 グローバルナレッジ IT教育スペシャリスト 技術担当 取締役

東京大学
大学総合教育研究センター
准教授 Ph.D.
中原 淳氏

  PMを育成していくためには、ふたつの施策を同時に進めていく必要があります。ひとつはもちろん、PMの個人スキルを向上させること。業務に必要な知識を得られるカリキュラムで教育を行なう必要があります。もうひとつは、PMが所属するコミュニティに対して組織としての成長を促していくこと。Social Capital Developmentなどとも言われます。これらの施策には、PMOが中心となって取り組むべきだと考えられます。ただ、個別のカリキュラムからコミュニティの形成まですべてをPMOでまかなうのは効率がいいとは言えないので、外部の教育機関を利用するのがやはり現実的でしょう。その際、個人スキルの向上だけではなく、組織の成長にも外部の教育機関を巻き込んで利用することをお勧めします。そうすれば、コミュニティ形成や現場との連携についても外部から意見をもらえる上、個人スキルの向上を目指したカリキュラムもコミュニティの形成と連動して進められます。

  今回の日立物流ソフトウェアさんの場合は、個人のCareer Developmentと組織としてのSocial Capital Developmentがうまく連動して進んだ好例と言えるでしょう。特に、研修で生まれたコミュニティを現場にまで広げ、上司まで含めたコミュニティとして成長させたことに大きな意義があります。個人の成長という観点でも組織の成長という観点でも、うまく相互作用が働き、高い効果を得られています。

  また、学んだことと実務の関係に目を向けると、研修と並んでフェーズゲートという仕組みを導入していることが興味深い点です。意識や知識だけが先行しても実務に反映されるには時間がかかります。反対に、実務をチェックする機能だけが先行しても、意義を理解されずうまく機能しません。今回は研修によってマネジメントの重要性を理解させるとともに、現場とチェック側が共通言語を持てたために、こうしたチェック機能が有効に機能したと考えるべきでしょう。

  大きな成果を得た日立物流ソフトウェアさんが今後より高い目標に向かうのだとすれば、世代継承性に着眼して進むといいでしょう。PMOは現在のPMに対して様々な支援を行なってきました。この成功を次の世代へと引き継いでいかなければなりません。そしてその際にPMの力を借りれば、次期PM候補者だけではなくPM自身の更なる成長が期待できます。“Learning by teaching(教えることで学ぶ)”という言葉がありますが、他人に教えるということは自身の知識の再確認にも有益なのです。また、企業のミドルレンジにいる人材のモチベーションを高めるために、組織目標の達成とともに部下育成が大きな要因となると、近年広く言われています。その観点からも、時期PM候補への現場での教育は効果を上げると思われます。


WBS (Work Breakdown Structure) 作業分解図

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